天使に捧げる4つのおまじない

稽留流産の手術をした。

正式には、「子宮内容清掃術」というらしい。

それまで"赤ちゃん"という、神秘的で希望のようにキラキラしていたものから、

途端に"異物"扱いされたような気持ちになった。

 


流産かもしれない、と告げられたのは5月1日。

 


どのくらい成長してるかな?と、エコー写真を楽しみに向かった2回目の診察だった。

 


予定では6週くらいのはずなんだけど、

4週くらいの大きさにしかなってないんだよねぇ。

連休に入るから、明けの6日にまた来て。

一応最後によ〜く診るけど、次の妊娠にかけて手術した方がいいと思うよ。

 


そこから淡々と始まった流産手術の説明を聞いて、

あ、もうそういう流れね。って思った。

 


手術や入院の同意書・当日の持ち物や注意点が書かれた説明書。

それと一緒にもらった、先週より大きくなってる胎嚢のエコー写真。

…でも胎芽は見えなかった。

(写ってないのか、小さくて素人にはどれが胎芽なのか判別できないのかはわからないけど)

 


大きくなってるのに…つわりもまだあるよ。

基礎体温も高いままだし、ほんとに流産?

 


会計を待ちながら、めちゃくちゃ検索した。

でも、流産に誤診はほぼないらしい。

 

 

 

妊娠がわかってから、流産の可能性についていろんなところで目にしていた。

初期の流産は、母体に原因がある訳ではなくて

染色体の異常で受精卵の時点でそうなることが決まっている、とか

全妊娠の10〜15%で珍しくないこと、とか。

 


夫ともそんな話をしていて、

でもまさか自分がそうなるとは思ってもいなかった。(私、流産する。って思ってる妊婦はいないと思うけど)

 


会計で手術の金額の説明を受けて、診察が終わった。

 


車に乗った瞬間、泣いた。

夫になんて伝えよう…いや、そのまま伝えるしかないんだけど…直接言えるかわかんない、どうしよう…

 


診察に行くと伝えていた母にLINEで今日のことを伝えたら、すぐに電話がかかってきた。

 


どんなに大人になっても、

悲しいことがあった時の励まし方や言葉のかけ方は小さい頃と変わらなくて、

母親ってすごいな、わたしはまだ母になる準備ができていなかったのかな、と思った。

 


家に着く頃、涙は止まっていた。

今ならこの調子で泣かずに話せるかも。

でも夫の顔を見た瞬間にまた泣いてしまった。

 


話をしている間、ずっと背中をさすってくれていた。

また一緒にがんばろ、って励ましてくれた。

 


そこからは、ふと泣いたりすることはあったけど、ひどく落ち込んだり、診察後車に乗ってからのように声を出して号泣したりすることはなかった。

 


夫がそばにいてくれて、母も顔見に来てくれたからだと思う。

 

 

 

世間はGW、わたしも急きょ5連休になって、何して過ごそう?天気いい日どっか行けるかな?と前向きな気持ちとは逆に、つわりがひどい。

動けない。気持ち悪い。

 


本当につらい地獄の連休だった。

お粥、お茶漬け、うどん、

食べれそうなものを毎日夫が用意してくれた。

家事もしてくれて、本当ありがとう。

 


手術をすればつわりはなくなるのかな、

赤ちゃんもお腹の中でつらいのかな、

ただただ横になってお腹をさすり手術の日を待つ長い連休だった。

 

 

 

5月6日、手術当日。

静脈麻酔をするから自分での運転はダメだったので、夫に送ってもらった。

夫が休みで本当によかった。

 


まず超音波検査。

これで赤ちゃんに会えるのは最後、でももう悲しくなかった。

わたしのお腹に来てくれてありがとう。

夫とわたしを短い間だけど、パパママにしてくれてありがとう。

産んであげられなくてごめんね。また会おうね。

 


こないだより大きくなっていて、なんと胎芽が見えた!!!!

でもやっぱり小さいし、心拍確認ができない。

 


今回は残念だけど、処置始めるね。と言われ、

赤ちゃんとはお別れだった。

 


手術が終わり、麻酔が覚めてから

最後のエコー写真をもらった。

 


きっと赤ちゃんもお別れ言いに来てくれたのかな、と思った。

連休中ひどかったつわりは、その為に頑張って生きてくれていた証だったのかな。

 


ひとりの時間が長かったけど、

喪失感とか悲しみは全くなかった。

 


夫が迎えに来てくれて、

麻酔でぐるぐる〜〜!ってなって〜周りの声は聞こえるんだけど全然目開けられないし動けないし〜

なんて今日の一部始終を話して15時半くらいに帰宅した。

 


しばらく麻酔の影響なのか頭がボーっとしてたけど、すっかりつわりはなくなっていた。

 


前日からの絶飲食と、手術の麻酔のせいで喉がカラカラだった。

水をめちゃくちゃ飲んで、おにぎり2個あっという間に食べた。

本当は夕食から、と言われていたけど、

つわりで数日全然食べれてなくてもう我慢できなかった。笑

 

 

 

 


赤ちゃんはもうお腹からいなくなっちゃったけど、

妊娠した時の喜びや、愛おしさ。

いのち、の奇跡。

それを失った悲しみ。

わたしたち夫婦に教えてくれた、赤ちゃんに本当にありがとうの気持ちです。

 


わたしたちの第一子は天使になって、

その魂にきっとどこかでまた会えると信じています。

 

 

 


そして、夫と結婚できたこと、

本当に心の底から幸せだと改めて思った。

きっと夫が夫じゃなかったら、もともとネガティブなわたしはこんな前向きにはなれていないし

手術翌日から振り返りを書ける程立ち直れなかったと思う。

 


どんな時も、ずっとそばで支えてくれる夫。

頼もしくて、感謝でいっぱいです。

本当にありがとう。

 

 

 

…と、畳んだ夫の洗濯物を枕にここまで書いて、涙でびちょびちょになってしまった。笑

 


多分泣くのはこれで終わり!

赤ちゃんもわたしたちを悲しませる為に命を宿した訳じゃない!

 


毎日を大切に、自分たちの体を大切に、

わたしたちらしくこれからも生きていこう。

わたしには、世界でいちばんの夫と、大切な天使ちゃん、支えになってくれる家族がいるから大丈夫。

 


おはよう。おやすみ。ありがとう。さようなら。

4つのおまじない。